3. 建売住宅と土地面積 150㎡や200㎡前後の宅地が多い理由

土地探しの際、面積をみてみると150㎡や200㎡前後の土地が多く出回っています。「人気があるから」とよく耳にします。なぜ人気があるのでしょう?なぜ人気といわれているのでしょう?ここではその理由を解説します。なお、当事務所の専門でない税金の話があります。拙い知識の中なので、より詳しく精密な情報につきましては別途検索のほど宜しくお願いいたします。

3-1 200㎡を目安に分譲しやすい開発事情

日本国では土地の私財化の歴史は古く、奈良時代の聖武天皇の治世における勅令である墾田永年私財法(太平15年5月27日/743年6月23日)が初めて土地を相続できる財産と認められたと言われています。それ以降歴史の節目に土地の利用権は多々改変されました。自作農創設特別措置法と改正農地調整法により、1945年12月から1950年にかけて特に多くの農地が流通しました。戦後から数世代の交代があり、今では当時農地であった畑や田んぼは多くの分譲地として再計画されているのを目にします。​特に分譲地として見かける土地は150㎡前後か200㎡を切るくらいの面積で取引されていることが多いでしょう。

​図:土地150㎡と200㎡の規模イメージ

日本の税制度により、日本国領土に固着しているものへの税金「固定資産税」が徴税されます。これは土地や建物に毎年1月1日を区切りに支払いが国民に義務付けられている税金です。この土地に関する固定資産税は3年おきに見直される評価額を基準に支払うことになります。この固定資産税の特別処置が住宅用地にはあります。戸建て住宅の場合は「小規模住宅用地」か「一般住宅用地」です。この二つの用地の違いは200㎡という面積を境に区分されます。小規模住宅用地では住戸1戸あたり200㎡までの部分が対象で、固定資産税が「標準税額(前述の評価額) x 標準税率1.4% x 1/6」となります。一方で一般住宅用地では200㎡を超えた部分は掛率が1/3となります。ただし住宅の床面積の10倍までの面積までです。建物に対して非常に広い土地を所有し続けることは、国土の有効活用につながらないため、徴税率を変えているのだと思われます。その結果として、土地に係る固定資産税は200㎡未満の土地に分けておくのが固定資産税の節税のポイントになります。しかし、実際に200㎡を超えたとしても、住宅の床面積の10倍までが掛率1/3なので極端な庭園をもつ住宅でない限り極端に大きな徴税差が生じません。

​図:ある分譲地のイメージ

仮に自分が地主だとしましょう​。分譲する際に18区画に土地を区分できたとき、売れるまでの期間の固定資産税はご自身で支払うことになります。実は上述の固定資産税の特別処置は「住宅が建っている」ことが前提の特別措置で更地の場合摘要されません。更地であれば「非住宅用地」なり標準税額(住宅がある場合は評価額、更地の場合は評価額x70%)が異なります。したがって固定資産税が「標準税額(評価額の70%)x標準税率1.4%」となります。そこで更地・小規模住宅用地で税額を比較すると更地が「評価額x0.98」、小規模住宅用地「評価額x0.23」となります。およそ4.26倍更地の方が固定資産税が高いことになります。例えば住宅がある場合の小規模住宅用地における土地の固定資産税が3万円であれば、更地のときは12.8万円ほどかかることになります。分譲地を更地のまま売らず、建物を建てることで売れるまでの間の節税することができます。これが「分譲地に建売住宅を造り売る」ビジネスの根幹にある仕組みです。200㎡を超えた土地で分譲したい地主にはポリシーなどをお持ちの方、あるいは分割上生じてしまったのではないかと想像できます。

3-2 土地は150㎡でも十分に戸建て住戸は計画できる

現在の事情から土地にかかる固定資産税のため200㎡以下で流通される場合が多いことがわかりました。しかし都心部や人気のある土地で贅沢(!?)に200㎡の土地はあまり目にしません。多くが100㎡程度から150㎡の間で分譲されています。

​図:土地150㎡と200㎡の住宅規模のイメージ

200㎡の土地とよく見かける150㎡の土地があるのはなぜでしょう。広いほうが魅力的と感じる方もいるかと思いますが、無駄な広さは求めないほうが、税金も初期費用もおさえることができます。150㎡の土地で住宅規模を算定してみましょう。仮にこの土地は建蔽率60%、容積率200%としましょう。150㎡の土地のときでも建物の建築面積(建物の敷地投影面積)は90㎡まで確保され、建物の最大面積は300㎡となります。木造3階建てでも消化しきれない住宅用地で、十分期待できる用地となります*。また仮に整形な間口11m、奥行き14mで154㎡の土地だとすれば正面に3台車を設けて、2階建て住宅がきれいに計画可能です。200㎡の住宅用地であればさらに庭も計画できるでしょう。庭が管理上不要、車が3台もいらない、建築面積を小さくしてもいいなど、個別のニーズにし応えていくと、小さな土地でも魅力的な計画ができます。分譲地として150㎡の土地は十分に魅力があります。ですが100㎡程度の用地でも分譲できるのは、その上に必要十分な建物が計画できるからです。

​*その他条例や指定区域の場合を除く。具体的には設計事務所にご相談ください。

​図:ハウスメーカーの分譲建売住宅サービスの例

建売住宅で120㎡以下の面積で開発されている住宅が多く見かけられます。これは「新築住宅の税額軽減の特例」により新築住宅の床面積120㎡以下の部分の固定資産税は1/2に軽減されるためです。現代社会では少子化も進み、3人家族で考えると充分な広さをもつため、ニーズとも合致し100㎡程度の宅地開発をたくさん見かけるようになりました。建売は、売り主側の都合から始まる節税と、現代社会の社会環境におけるニーズのバランスを捉え、効率よく同じモデルの住宅を計画し販売することで、コストコントロールされた住宅市場を形成しています。

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